聖武天皇ゆかりの品など64件が出陳
古都・奈良の秋の風物詩、「第68回 正倉院展」が、奈良国立博物館で、10月22日から11月7日まで開催される。
今年は、北倉10件、中倉29件、南倉22件、聖語蔵3件の合計64件が出陳され、うち和同開珎など9件が初出陳。聖武天皇ゆかりの屏風や水差しなど、華やかな宮廷生活を想像させる宝物のほか、多種多様な金工品も出陳され、金属と古代の日本人の関係にも思いを馳せることができる。
聖武天皇一周忌を飾った大幡に関する宝物をまとめて公開
聖武天皇ゆかりの北倉からは、シルクロードの遺風を伝える名品として有名なペルシア風の水差し「漆胡瓶(しっこへい)」が、正倉院展では18年ぶりの出陳となる。
また、板締め染めの屏風「鳥木石夾纈屏風(とりきいしきょうけちのびょうぶ)」は、聖武天皇のお側近くにあった屏風で、花鳥を愛でた当時の宮廷生活が垣間見ることができる。
聖武天皇一周忌斎会で懸吊された大幡(だいばん)に関連する宝物がまとまって公開されるのも注目で、大型の染織幡である大幡は総長13~15メートルに及ぶと考えられる巨大な幡で、今回は幡の本体、脚、脚先の飾り、芯に使われた裂(きれ)が出陳され、その全容を想像することができる。
このほか聖武天皇ご遺愛の品を含む、素材の異なる3種の笏や象牙の櫛、革の腰帯などの装身具、金工品や二彩の陶器、人々の生活や生産活動を伝える文書など、奈良時代の文化と暮らしを伝える宝物が揃う。

奈良国立博物館 公式サイト
http://www.narahaku.go.jp/index.html