初出陳12件を含む63件の宝物が出陳
奈良国立博物館では、「第67回 正倉院展」が、10月24日から11月9日まで開催される。
今年の正倉院展には、北倉9件、中倉22件、南倉29件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて63件の宝物が出陳され、うち初出陳は12件となっている。
最新の調査成果を反映した宝物も展示
聖武天皇ゆかりの北倉からは、七条褐色紬袈裟(しちじょうかっしょくのつむぎのけさ)が出陳。袈裟は「国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)」の筆頭に掲げられる聖武天皇所持の袈裟のうちの1領。
また彫石横笛(ちょうせきのおうてき)・彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)は、蛇紋岩でできた珍しい管楽器で、表面に美しい浮彫文様が施され、天皇の所用にふさわしい豪華な装飾が特色。
南倉宝物の、東大寺伝来の精緻を極めた木画の技法をみることができる、紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)、初出陳の漆鼓(うるしのつづみ)とともに天平の調べに思いを馳せることができる。
平成21年~24年に宮内庁正倉院事務所で行われた特別調査の成果を示す宝物が出陳されるのも話題の一つ。
以前の調査で鯨鬚(くじらひげ)とされていた、僧侶が手に持って威儀をただすのに用いる道具である、柿柄麈尾(かきえのしゅび)の毛は猪毛だということが判明するなど、最新の知見に展示品を通じてふれることができる。

奈良国立博物館 公式サイト
http://www.narahaku.go.jp/index.html