街並み絵巻プロジェクトは、その場におけるコミュニケーションをもとに作品を制作し、その作品を展示することでさらに広がりのあるコミュニケーションを生み出すことを目指しているコミュニケーションアーティスト笠尾敦司氏が主宰するアートプロジェクトだ。
街の中のアート、街の記録
新宿西口思い出横丁街並み絵巻プロジェクトは、新宿西口を出て小滝橋通りを左に向かって歩いてすぐのところにある戦後の闇市を起源とする飲屋街で始めたプロジェクト。この飲屋街の街並みを4m弱の水彩画紙に線画として描き、それを道端に出し、店の人、お客、通行人にも協力してもらって水彩絵の具で下絵の上に塗ってもらい仕上げる。まさに、その街に対する人々の思いを吸い上げるコミュニケーションアート作品だ。それだけでなく、2007年度2008年度と続けて実施しているため、移りゆく、街の記録にもなっている。
巨大なのれん、デザインの素材にも
街並みのお店はのれんと深い関係にあるので、街並み絵巻を巨大なのれんにして展示している。こうすることで、描きながら、そして、のれんの展示を見ながら、この横丁について色々語ってもらうことができるようになる。さらに、街の中からアートを生み出したというだけでなく、作られた作品である街並み絵巻を手ぬぐいなどの使えるデザイン制作物にして、それを販売し、さらにそれらを使ってもらいながら、街のことを考えてもらうことまでを想定している。(展示は10月22日~11月26日迄)
新宿西口の一画に残る思い出横丁は、日本の歴史の生き証人でもある。水彩絵の具に託するひと筆には万感の思いが籠っていることだろう。手拭いが出来たら買いに行こう。